
横浜市金沢区の司法書士・行政書士の伊丹真也です。
本日は、以前のブログでご紹介した「40年ぶりの相続法改正!司法書士が教える相続法改正のポイント①」の中から、「遺言書の保管制度」について、ご説明します。
遺留分とは
遺留分とは、相続人が遺産から最低限もらえる制度のことで、兄弟姉妹以外の相続人に認められた権利です。
たとえば、遺言により遺産のすべてを長男に相続させたり(遺贈)、生前贈与により長男にすべて贈与していた場合などに、他の相続人が遺留分を主張することにより財産を取得できます。
現行では、「遺留分減殺請求権」と言いますが、改正により、「遺留分侵害額請求権」と変わります。
従来の遺留分
現行法では、この遺留分減殺請求権が行使されると、遺産のすべてが相続人間の共有となります。つまり、不動産や自社株などの株式もすべて共有となってしまいます。
また、法定相続人に対する生前贈与は、特段の事情がない限り、何年前の贈与でも遺留分の計算対象となります。
改正後の遺留分はどうなる?
遺留分侵害額請求権という名のとおり、遺留分権利者は、遺留分に相当する金銭の支払いを請求することのみができるようになります。
つまり、不動産や自社株などの現物の返還を求めることはできなくなります。
また、法定相続人に対する生前贈与については、相続開始前10年間にされたものに限り、遺留分の計算対象となることになります。
さいごに
遺留分の請求が金銭に一本化されたことで、不動産や自社株などに複雑な共有関係が生じなくなるため、遺留分に基づく権利が主張しやすくなりそうです。
遺留分算定の基礎となる法定相続人に対する生前贈与に10年という期間の制限が設けられたことで、不動産や自社株等の生前贈与がよりしやすくなります。
遺言書や生前贈与をする前に、まずは司法書士など専門家にご相談ください。