1.親族が必ず後見人になれるとは限らない
後見人を選任するのは家庭裁判所です。家庭裁判所は、本人の財産の額や様々な事情を考慮し、後見人を選任します。
平成29年度の概況では、約73.8%が、親族以外(弁護士、司法書士、行政書士や社会福祉士など)の第三者が後見人に就任しています。
申立書には候補者の欄があり、親族が就任を希望することはできますが、裁判所の判断により第三者が選任される可能性があることは覚えておいてください。
2.後見人への報酬が必要になる可能性も
親族の方が後見人に就任した場合、後見事務の報酬は考えていないことが多いと思います。しかし、様々な事情により第三者が後見人に就任した場合、後見人への報酬が必要です。
現在、裁判所の基準によれば、月額約2万円~6万円です。なお、この報酬は本人の財産より支払われますので、親族の方が負担することはありませんが、第三者が選任されると、報酬が必要なことは覚えておいてください。
3.後見は本人が死亡するまで続く
後見が開始すると、本人の意思能力が回復するか、本人が亡くなるまで、後見を途中でやめることはできません。
例えば、申立てのきっかけとなった本人の不動産の売却や預貯金の解約が終わっても、後見は終わりません。本人が亡くなるまで後見は続き、毎年裁判所に報告書を提出しなければなりません。
4.本人の財産は現状維持が原則
後見が開始されると、原則として本人の財産は現状を維持しなければなりません。
例えば、相続税対策のために生前贈与は原則としてできません。生前贈与は、その人の財産を減らす行為ですので、後見人の役目と反してしまいます。
もし、本人が元気なうちに、生前贈与をたくさんしていきたい、という意向があったとしても、その意向が現在もあるかどうかを確認することはできません。家庭裁判所としては、そのような状況下では、生前贈与などの行為を認めるわけにはいかないのです。
同様の趣旨のもと、賃貸アパートの建替えや売却、株式や投資信託への投資、生命保険契約なども原則としてできません。繰り返しになりますが、後見人の役目は、財産を守ることであり、増やすこと、運用することが役目ではないのです。
5.定期的に家庭裁判所への報告が必要
後見人は、毎年家庭裁判所へ収支報告書や財産目録を提出する必要があります。また、居住用不動産を売却したり、生命保険の解約をしたときなど、大きな資産の変動があったときは、その都度報告する必要があります。