成年後見制度とは、認知症や知的障害により判断能力が十分でない方の代わりに契約をしたり、援助したりする人(成年後見人)を家庭裁判所に選任してもらう制度です。
ここでは、成年後見制度を利用するための申立の流れをご説明します。
目次
成年後見の申立て手続きの流れ
1.成年後見の申立て
家庭裁判所に対して後見開始の審判の申し立てを行います。この際の管轄裁判所は、認知症や知的障害のある本人の住所地の家庭裁判所となります。申し立ては本人のほか、配偶者、四親等以内の親族、検察官などが申立人となれます。
その際に主に以下のような書類を提出します。
・本人以外が申し立てをする場合は申立人の戸籍謄本1通・本人の戸籍謄本、附票、登記事項証明書、診断書
・成年後見人の候補者となる人の戸籍謄本、住民表、身分証明書、登記事項証明書・申立書付票
・財産関係資料(不動産についての資料、預貯金、株式等についての資料、収入・支出についての資料など)
なお、主な費用としては以下の通りです。
・郵送切手代:5,000円程度
・登記手数料:収入印紙2,600円
・鑑定費用:必ず必要となるわけではありませんが、成年後見は本人の精神状態や判断能力を慎重に確認する必要があるため、全体のおよそ1割程度は鑑定が必要となる場合があります。費用はおよそ5~10万円程度です。
その他、申し立てを司法書士に依頼した場合は別途が必要となります。
2.家庭裁判所の調査官による面談
本人、申立人、成年後見人候補者として記載した人を家庭裁判所に呼んで調査官から細かな事情を聴かれます。この際に必要と認められる場合は精神鑑定が行われる場合もあります。
3.審判
家庭裁判所が成年後見の審判をします。基本的には成年後見人候補者の中から後見人が選任されますが、家庭裁判所の判断で候補者以外の専門職などを選任することもあります。
4.成年後見の登記
家庭裁判所から審判書謄本を受け取ります。成年後見の申し立てが認められるとその旨が法務局で登記されて手続きは完了します。こちらで登記を行う必要はありません。
概ねこの一連の流れを2カ月程度で行いますが、本人の状態によってはもっと長くかかる場合があります。
成年後見の申し立ては、とても手間がかかります
これだけ見ると、手続き自体は簡単そうに見えるかもしれませんが、実際の成年後見の申し立て手続きは非常に煩雑化しています。
特に必要書類についても、上記に記載したもの以外にもさまざまなものの提出を裁判所が要求してきます。
そのため、初めて手続きをする人にとっては、なかなか先が見えず、そのため今後の予定が立てられないなどの支障が出ることがあります。
そのため、成年後見の申し立て手続きは、専門家に依頼することをおすすめします。
成年後見はだれに依頼すればいいの?
成年後見制度のサポートについては、さまざまな専門家が名乗りを上げています。
もしご自身ではなかなか面倒だということであれば、弁護士又は司法書士に依頼すると、代わりに申立書類の作成や申し立てをすることができます。資料集めを除き、煩雑な手続きをすべて専門家に任せることができます。