40年ぶりの相続法改正!相続法改正のポイント①

横浜市金沢区の司法書士・行政書士の伊丹真也です。

本日は、約40年ぶりの改正となる相続法についてご紹介します。改正により、相続に関するルールが大きく変わるため、今回はその概要をお話します。どの項目も知らないと損をすることばかりですので、この機会に一度読んでみてください。詳細は順次ブログにてお知らせいたします。

法務省のホームページ → こちら

相続に関するルールが大きく変わります!

高齢化の進展等の社会環境の変化に対応するため、以下の改正が行われます。

配偶者の居住権

残された配偶者が不動産の名義を持たなくても、残された配偶者が亡くなるまで今の住居に住めるようになる制度です

配偶者居住権は、自宅に住み続けることができる権利ですが、完全な所有権とは異なり、人に売ったり、自由に貸したりすることができない分、評価額を低く抑えることができます。

このため、配偶者はこれまで住んでいた自宅に住み続けながら、預貯金などの他の財産もより多く取得できるようになり、配偶者のその後の生活の安定を図ることができます。

預貯金の払戻し制度

改正前には、生活費や葬儀費用の支払、相続債務の弁済など、お金が必要になった場合でも、相続人は遺産分割が終了するまでは被相続人の預貯金の払戻しができないという問題がありました

今回の改正により、亡くなった方の名義の預貯金が凍結された場合でも、一定の金額を相続人のひとりがお金の払戻しを請求できるようになります。

特別受益の持戻し免除の意思表示が推定されるようになる

婚姻期間が20年以上の夫婦の間で居住不動産が遺贈や贈与された場合は、持戻し免除の意思表示があったものと推定する制度です

今回の改正により、自宅の生前贈与を受けた場合でも、配偶者は結果的により多くの相続財産を得て、生活を安定させることができるようになります。

みなし遺産制度

遺産分割前に一部の共同相続人によって処分された場合、処分した人以外の共同相続人全員の同意があれば、処分された遺産も遺産分割の対象とし、処分で得た利益を処分した人の具体的相続分から差引くことできるようになりました。

特別の寄与の制度

相続人でない親族(たとえば、長男の妻など)も、無償で亡くなった方の介護をしたなどの労務提供をして被相続人の財産の維持増加に特別の寄与をした場合、相続の開始後、相続人に対して特別寄与料を請求できるようになります。

遺留分制度の見直し

遺留分減殺請求の効力が、金銭請求に一本化されるなどの改正があります。

自筆証書遺言の作成や保管制度など

これまで自筆証書遺言は、添付する目録も含め、全文を自書して作成する必要がありました。また、自筆証書による遺言書は自宅で保管されることが多く、せっかく作成しても紛失したり、捨てられてしまったり、書き換えられたりするおそれがあるなどの問題がありました。

その負担を軽減するため、自筆証書遺言を法務局で保管することができるようになったり、パソコンで財産目録を作成できるなど、遺言書の一部を自筆しなくてもよくなります

最後に

今回の改正は高齢化していく社会の中への配慮、とりわけ残された配偶者が安定した生活を過ごせるように改正が導入されました。次回以降も相続法の改正について引き続き紹介していきます。

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