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相続税の課税対象財産とは
相続税の対象となる財産は大きく以下の3つに分類されます。
1.本来の相続財産
この場合の財産とは、被相続人が死亡時に所有していた現預金、有価証券、土地・家屋、貸付金、著作権などの金銭に見積もることができる経済的価値のあるものすべてをさします。
2.生前の贈与財産
相続により財産を取得した者が、相続の開始日から死亡前3年以内に取得した被相続人からの贈与財産及び相続時精算課税の適用を受けた財産のことです。
これらの財産はすでに被相続人の所有から外れていますが、相続税の計算上は本来の相続財産に上乗せします。
3.みなし相続財産
本来的に被相続人の財産で、相続税の計算上は相続財産とみなして、本来の相続財産に上乗せする財産のことです。
死亡保険金、損害保険金、死亡退職金などがこの対象となります。
相続税の評価額
相続税の申告は時価ではなく、相続税法や国税庁の通達に従った評価額、すなわち相続税評価額をもとに行います。
相続税の申告で最も難しいのはこの相続税評価額の計算であり、かなりの専門知識が要求されます。
財産評価の詳細は「財産評価基本通達」にありますが、以下に主なものをご紹介いたします。
土地の評価方法
- 路線価方式
- 倍率方式
- 借地の評価
土地の面する路線(道路)を区切りとして、国税庁の定めた土地の路線価をもとに評価する方法です。
評価方法としては、路線価に土地の面積を掛けて評価額を求めるのが基本ですが、間口が狭くて細長い土地だったり、がけ地だったりすると評価額の調整が行われます。主に市街地的形態を形成する地域で採用される方式で、毎年各国税局が作成する路線価図に基づいて土地を評価します。
算出方法 : 路線価 ✕(※)補正率・加算率 ✕ 宅地面積
※土地の間口、奥行き、地形等で利用しにくい土地は一定の方法により評価額が低くなります。逆に二つの路線に面している角地などは、土地の利用価値が高くなるため評価額も高くなります。
都市郊外の地域で路線価が定められていない地域で採用される方式で、地域ごとに定められている倍率表に基づいて土地を評価します。
算出方法 : 宅地の固定資産税評価額 ✕ 倍率
算出方法:路線価方式、または倍率方式の評価額 ✕ 借地権割合
※借地権割合は路線価図や評価倍率表に表示されています。
建物の評価方法
- 自用家屋
- 貸家
算出方法:固定資産税評価額 ✕ 1.0
算出方法:自用家屋の価額 ✕ (1-30%)
上場株式の評価
証券取引所に上場されている株式を上場株式といい、上場株式の評価は、その株式が、上場されている証券取引所が公表する課税時期(被相続人の死亡日や贈与を受けた日)の最終価額によります。
しかし、上場株式は、日々価格変動するものであり、評価の安全性を考慮して4つの評価方法があります。
1)相続が開始した日の最終価格
2)相続が開始した月の最終価格の月平均額
3)相続が開始した月の前月の最終価格の月平均額
4)相続が開始した月の前々月の最終価格の月平均額
生命保険金の評価
算出方法:受取金額 - 非課税枠(500万円 ✕ 法定相続人の数)
退職手当金の評価
算出方法:受給金額 - 非課税枠(500万円 ✕ 法定相続人の数)