遺言書、成年後見

遺言書作成のサポート内容

  • 遺言書の文案の作成
  • 公証役場との遺言書の内容の打ち合わせ、日程の調整
  • 証人としての立会

遺言書の種類

遺言書にはいくつか種類がありますが、よく利用される遺言として、自ら自署・押印し作成する自筆証書遺言と、公証役場で作成する公正証書遺言の2つがあります。

自筆証書遺言

一番簡単に作成できる遺言です。遺言者が遺言書の全文、日付及び氏名を自書し、押印することによって成立する遺言です。ただし、一点でも法律のルールを間違えてしまうと、その遺言は無効になる可能性があります
また、誰にも知られずに書くことができる反面、書いた本人が亡くなった後、遺言があることを誰にも知られずに手続きが進んでいってしまうケースもあります。その場合、遺言に違反した手続きを全て一からやり直す必要があります。

メリット
  • いつでも紙・ペン・印鑑があれば作成できる
  • 費用がかからない
  • 遺言書の存在・内容を秘密にできる
デメリット
  • 紛失や偽造、遺言書自体を隠されてしまうおそれがある
  • 遺言書により相続手続きをするには、家庭裁判所の検認の手続きが必要になる
  • 遺言書の記載事項、記載方法などの不備があると遺言書が無効になるおそれがある

デメリットを一部解消できる制度が始まりました!

2020年7月10日から、法務局に自筆証書遺言の保管を申請することができるようになりました。
この制度により、紛失や偽造、遺言書自体を隠されてしまうおそれや、遺言書が発見されないというデメリットが解消できます。また保管制度を申請することにより、裁判所の検認手続きも不要となります。

遺言書を書くメリット

相続で揉めるというのは、たくさんの遺産がある一部の人だけというイメージがあるせいか、「うちは財産が少ないから揉めることはない」とよく聞きます。しかし、現実は必ずしもそうではないのです。

遺産額が1,000万円以下の事件件数割合は33%、さらに5,000万円以下になると75%となっており、遺産額が少ないほうが相続人の間で揉めることが多いことがわかります。

司法書士に依頼するメリット

安心・確実に遺言を残すことができる

遺言書は少し調べればご自身で作成することもできまが、本当にその情報が正しいのかどうかは調べるのは大変です。
司法書士におまかせいただければ、安心・確実に遺言を残すことができます。

やりとりを任せられる(公正証書遺言の場合)

自筆証書遺言の場合は、ご自身で作成すればいいのですが、公正証書遺言の場合は公証人の関与が必要になります。ざっくりとご希望の内容を言っていただければ、その内容を実現できるように司法書士と公証人とで遺言書の案を作成していきます。

また、公正証書遺言では証人が2人必要になりますが、司法書士は証人になることができますので、他人に遺言書の内容を知られることがありません。

当事務所では、遺言書の文案作成から公証役場との打ち合わせ、証人としての立会いなど、遺言書作成に必要となる諸手続を総合的にお手伝いさせていただきます。

遺言の保管と執行

遺言書の保管方法

遺言は書面で書くことになっていますが、遺言によって自らの意思を実現するためには、その遺言書を相続人に見つけてもらわなければなりません。

発見してもらえなければ、せっかく作成した遺言は何の効果もありません。

従って、遺言書は遺言者が亡くなった後に相続人らがすぐにわかるような場所で、かつ隠されたり、勝手に書き換えられたりする心配の無い場所に保管しておく必要があります。

なお、2020年7月10日より、法務局による遺言書の保管制度が始まりました。今まで自宅の金庫や銀行の貸金庫などに保管していた自筆証書遺言が、より安全に保管することができるようになります。

公正証書遺言の場合

公正証書による遺言は、遺言書の原本が公証役場に保管されているので、相続人に遺言書を作成してある公証役場の場所を伝えておけば十分です。

遺言された方が生存中は、遺言書の存在が明らかになっても、ご本人以外が公証役場を訪れて遺言書の内容を教えて欲しいと要求したり、閲覧を請求したりしても、公証人がこれに応じることはありませんので、遺言の秘密を保てます。もっともお勧めの方法といえます。

法務局に保管を申請する

2020年7月10日から、自筆証書遺言は法務局に保管を申請することができるようになりました。
詳しくは、こちらをご覧ください。

作成を依頼した司法書士に頼む場合

遺言書作成の際にアドバイスを受けた司法書士に保管を頼むという方法があります。司法書士は法律により守秘義務を負っており、職務上知りえた事実を第三者に洩らすことは禁止されています

従って、遺言書の存在を秘密にしておくことも可能です。

第三者に頼む場合

自筆証書遺言の場合、親族等に預けることもあります。法定相続人など遺産に利害関係のある方に預ける場合には、隠匿、改ざんの恐れがあり、逆に紛争の元となりかねませんので、なるべく遺産に何の利害関係がない、公正な第三者に保管してもらうようにしてください。

遺言で遺言執行者を定めた場合には、遺言執行者に預けておくのが適当です。

自筆証書遺言の書き方

自筆証書遺言を書くときは、次のポイントを守らないと遺言全体が無効になってしまう可能性があります。次のポイントは必ず守って下さい。

自筆証書遺言で必ず守ること

全文を自書すること

遺言書全文を自筆で書く必要があります。ワープロや代筆は不可です。

正確な作成日を書くこと

特定できる必要があるため「吉日」では無効です。反対に特定できる書き方であれば、遺言者の何回目の誕生日でも良いとされています。
ただ、後日の紛争を防ぐため、正確な日付を書きましょう。

戸籍上の氏名を書くこと

確実に特定できる呼び名であれば、あだ名・ペンネーム等でも良いとされています。

印鑑を押す

実印の要求はされていません(拇印や認印もOK)が、書面の真実性に疑義が生じるので、実印での押印が望ましいです。
遺言書を書き終わったら封筒に入れて、遺言書に押したのと同じ印鑑を押して封印します。また、封筒には遺言書の作成日も書いておきます。

遺言書を訂正するときも、その方法が厳密に決められています。書き間違えた場合は無理に訂正しようとせずに、もう一度遺言書の全部を書き直す方がオススメです。

自筆証書遺言の書き方の例

一般的な自筆証書遺言のサンプルを書いてみますが、実際に遺言書を書くときには、司法書士など専門家に相談するのが確実です。

自筆証書遺言のサンプル

遺言書(サンプル)

第1条 遺言者は、遺言者の有する以下の財産を、妻A(昭和○年○月○日生)(※1)に、相続させる。(※2)

① 土地(※3)
所  在  ◯◯市◯◯町◯◯丁目
地  番  ◯◯番◯◯
地  目  宅地
地  積  ◯◯㎡

② 建物
所  在  ◯◯市◯◯町◯◯丁目
家屋番号  ◯◯番◯◯
種  類  居宅
構  造  木造瓦葺2階建
床 面 積  1階  ◯◯.◯◯㎡ 2階  ◯◯.◯◯㎡

第2条 遺言者は、遺言者の有する以下の財産を、長男B(昭和○年○月○日生)に、相続させる。

① 現金 金◯◯◯円

② ○○銀行の遺言書名義の預貯金全部

第3条 遺言者は、遺言者の有する以下の財産を、長女C(昭和○年○月○日生)に、相続させる。

① 株式 ○○株式会社の株式全部

第4条 遺言書は、遺言者の有するその余の一切の財産を、妻Aに相続させる。(※4)

第5条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として妻Aを指定する。(※5)

令和〇〇年〇〇月〇〇日
住所 ◯◯◯◯◯
遺言者 ◯◯ 印

注意事項

※1.相続する人を特定できるよう、続柄・氏名・生年月日を入れます。法定相続人以外の場合(長男の妻など)は、住所も書いておきます。

※2.法定相続人に対しては「相続させる」、それ以外の人に対しては「遺贈する」と書きます。「与える」「譲る」「任せる」「承継させる」のような曖昧な言葉は避けましょう。

※3.不動産は登記事項証明書(登記簿謄本)のとおりに記載します。

※4.万が一、遺言書から漏れていた財産があった場合でも、この条文があれば安心です。

※5.遺言執行者を指定しておくと、不動産登記や預貯金の解約など、スムーズに手続をすることができます。弁護士や司法書士を遺言執行者に指定することもできます。

公正証書遺言の作成の流れ

こちらでは、公正証書遺言の作成のご依頼をいただいたときの一連の流れをご説明します。

STEP
無料相談のお申込み

無料相談は、お電話もしくはお問い合わせフォームからお申込みください。
ご予約いただいたあと、しっかりご相談させていただきます。

STEP
無料相談の実施

ご予約いただきましたら、当事務所もしくはご自宅にて、無料相談をさせていただきます。
当事務所には専用のご相談ブースを設けております。お気軽にお越しください。

STEP
市町村役場で必要書類を収集します

戸籍や住民票、登記簿謄本等、遺言書を作成するために必要な書類を取得します。

STEP
遺言書の原案を作成をします

ご依頼者様の希望する内容を作成し、公証人と内容の確認をします。

STEP
遺言書の最終調整

公証人と作成した遺言書の内容を一緒に確認します。

STEP
公正証書遺言の作成

公証役場またはご希望の場所にて公証証書遺言を作成します。

STEP
公正証書遺言の受領

公証人より公正証書遺言を受領して、手続きは完了です。

料金

自筆証書遺言作成サポート110,000円~
公正証書遺言作成サポート165,000円~

司法書士報酬以外にかかる実費

  • 公証人手数料
  • 戸籍謄本などの公的証明書の発行手数料
  • 交通費

後見人の役割

1.財産の管理
  • 預貯金などの入出金のチェックと必要な費用の支払い
  • 不動産の管理
  • 介護施設に入るために不動産などを売却する
  • 遺産分割協議や相続に関する手続き
2.身上監護
  • 治療、入院に関し病院と契約すること
  • 住むところの確保のため賃貸借契約をする
  • 病院や施設などの入退所に関する手続き
  • 要介護認定の手続きや介護サービス事業者と契約をする
3.家庭裁判所への報告
  • 1年に一度の収支報告
  • 本人の入院先・氏名・住所・本籍、又は成年後見人の住所・氏名が変わったとき
  • 本人死亡時の成年後見登記申請
  • 財産目録の作成
  • 財産の引き渡し
  • 終了報告

成年後見制度の注意点

成年後見制度について、申立てをする前に知っていただきたいことをご説明いたします。
後見開始申立書を提出すると、撤回できない可能性もあるので注意が必要です。

1.親族が必ず後見人になれるとは限らない

後見人を選任するのは家庭裁判所です。家庭裁判所は、本人の財産の額や様々な事情を考慮し、後見人を選任します。

平成29年度の概況では、約73.8%が、親族以外(弁護士、司法書士、行政書士や社会福祉士など)の第三者が後見人に就任しています。

申立書には候補者の欄があり、親族が就任を希望することはできますが、裁判所の判断により第三者が選任される可能性があることは覚えておいてください。

2.後見人への報酬が必要になる可能性も

親族の方が後見人に就任した場合、後見事務の報酬は考えていないことが多いと思います。しかし、様々な事情により第三者が後見人に就任した場合、後見人への報酬が必要です

現在、裁判所の基準によれば、月額約2万円~6万円です。なお、この報酬は本人の財産より支払われますので、親族の方が負担することはありませんが、第三者が選任されると、報酬が必要なことは覚えておいてください。

3.後見は本人が死亡するまで続く

後見が開始すると、本人の意思能力が回復するか、本人が亡くなるまで、後見を途中でやめることはできません。

例えば、申立てのきっかけとなった本人の不動産の売却や預貯金の解約が終わっても、後見は終わりません。本人が亡くなるまで後見は続き、毎年裁判所に報告書を提出しなければなりません。

4.本人の財産は現状維持が原則

後見が開始されると、原則として本人の財産は現状を維持しなければなりません

例えば、相続税対策のために生前贈与は原則としてできません。生前贈与は、その人の財産を減らす行為ですので、後見人の役目と反してしまいます。

もし、本人が元気なうちに、生前贈与をたくさんしていきたい、という意向があったとしても、その意向が現在もあるかどうかを確認することはできません。家庭裁判所としては、そのような状況下では、生前贈与などの行為を認めるわけにはいかないのです。

同様の趣旨のもと、賃貸アパートの建替えや売却、株式や投資信託への投資、生命保険契約なども原則としてできません。繰り返しになりますが、後見人の役目は、財産を守ることであり、増やすこと、運用することが役目ではないのです。

5.定期的に家庭裁判所への報告が必要

後見人は、毎年家庭裁判所へ収支報告書や財産目録を提出する必要があります。また、居住用不動産を売却したり、生命保険の解約をしたときなど、大きな資産の変動があったときは、その都度報告する必要があります。

後見開始申立ての流れ

STEP
無料相談のお申込み

無料相談は、お電話もしくはお問い合わせフォームからお申込みください。
ご予約いただいたあと、しっかりご相談させていただきます。

STEP
必要書類の収集

申立書の作成前に、申立てに必要な書類を集めます。

  • 医師の診断書(後見開始の申立てをするうえで必須)
  • 本人以外が申し立てをする場合は、申立人の戸籍謄本1通・本人の戸籍謄本、附票、登記事項証明書、診断書
  • 成年後見人の候補者となる人の戸籍謄本、住民表、身分証明書、登記事項証明書・申立書付票
  • 財産関係資料(不動産についての資料、預貯金、株式等についての資料、収入・支出についての資料など)
STEP
申立書の提出

家庭裁判所に対して後見開始の審判の申し立てを行います。管轄裁判所は、認知症や知的障害のある本人の住所地の家庭裁判所となります。申し立ては本人のほか、配偶者、四親等以内の親族、検察官などが申立人となれます。

なお、主な費用としては以下の通りです。

  • 申立手数料:収入印紙800円
  • 郵送切手代:5,000円程度
  • 登記手数料:収入印紙2,600円
  • 鑑定費用:必ず必要となるわけではありませんが、成年後見は本人の精神状態や判断能力を慎重に確認する必要があるため、全体のおよそ1割程度は鑑定が必要となる場合があります。費用はおよそ5~10万円程度です。
STEP
家庭裁判所の調査官による面談

本人、申立人、成年後見人候補者として記載した人を家庭裁判所に呼んで調査官から細かな事情を聴かれます。この際に必要と認められる場合は精神鑑定が行われる場合もあります。
※現在は、電話にて面談となっています。

STEP
審判

家庭裁判所が成年後見開始の審判をします。基本的には成年後見人候補者の中から後見人が選任されますが、家庭裁判所の判断で候補者以外の専門職などを選任することもあります。

STEP
成年後見の登記

家庭裁判所から審判書謄本を受け取ります。成年後見の申し立てが認められるとその旨が法務局で登記されて手続きは完了します。こちらで登記を行う必要はありません。
概ねこの一連の流れを2か月程度で行いますが、本人の状態によってはもっと長くかかる場合があります

料金

報酬額110,000円~

司法書士報酬以外にかかる実費

  • 申立書に貼る印紙代、登記手数料
  • 戸籍謄本などの公的証明書の発行手数料
  • 郵送費、交通費